熱中症と日焼け対策

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― 子どもも大人も「予防」がすべて ―

 夏の運動や屋外活動で、毎年問題になるのが熱中症と日焼け(紫外線障害)です。
特に子どもやスポーツをする方は、身体に与えるダメージが大きく、時に競技生命や健康に影響を及ぼすこともあります。

今回は、熱中症と日焼け、それぞれの予防と対応のポイントを分かりやすくご紹介します。

とくに運動をしている方や外出の多いお子さんにとって、皮膚の不調は日常生活やパフォーマンスにも影響するため、早期の対策と正しい知識が不可欠です。

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熱中症とは?

高温多湿の環境下で体温調節機能が破綻し、体に熱がこもることで起こる障害です。
脱水、塩分不足、体温上昇などが重なり、重症化すると意識障害や臓器障害を引き起こします。

◆ 特に注意が必要な人
・子ども(体温調節機能が未熟で、汗腺の数も少ない)
・高齢者(感覚が鈍くなり、水分摂取量が少ない)
・アスリート(暑熱環境下での高強度運動)

◆ 主な症状
・めまい、立ちくらみ、吐き気
・異常な発汗または発汗が止まる
・筋肉のけいれん(こむら返り)
・意識がぼんやり、返答が曖昧

◆ 予防の基本
1.こまめな水分・塩分補給
 → 喉が渇く前に、少しずつ摂ることがポイントです
2.暑さに慣れる(暑熱順化)
 → 夏前や合宿前に軽い運動から始め、徐々に体を慣らす
3.通気性・吸汗性の良い服装
 → 風通しの悪い服装は体に熱をこもらせます
4.日焼け(熱傷)の予防
 → 実はこれも熱中症予防に直結します

日焼けも「やけど」です

― 特に子どもの肌は注意 ―

意外と軽視されがちですが、日焼けは皮膚の炎症、つまり「熱傷=やけど」です。
強い紫外線を浴びると、肌のバリア機能が壊れ、体内の水分が奪われるだけでなく、深部体温も上昇しやすくなり、熱中症のリスクがさらに高まります。

◆ 運動する子どもに特に重要
・子どもの肌は薄く、ダメージを受けやすい
・炎症が強いと運動継続が難しくなることも
・強い日焼けは免疫機能にも影響するという報告もあります

◆ 日焼け対策は熱中症対策
・日焼け止めクリーム(SPF30以上、PA++以上)を2〜3時間ごとに再塗布
・帽子・アームカバー・ラッシュガードなどの着用
・屋外での休憩は必ず日陰でとるように心がけましょう

日焼け予防に「飲む日焼け止め」?

最近では、飲む日焼け止め(抗酸化サプリメント)も注目されています。
例えば、ポリポディウム・レウコトモス(PL)やアスタキサンチン、ビタミンC・Eなどの抗酸化成分を含むものがあり、紫外線による細胞ダメージの軽減が期待されています。もちろん、これだけで十分な効果が得られるわけではありませんが、
外用の対策+内服による補助的予防は、特にスポーツ選手や屋外での活動時間が長い方にとって有効です。

熱中症・日焼けになってしまったら

【熱中症】
・すぐに涼しい場所へ移動し、服を緩め、うちわや扇風機で体を冷やします
・首・脇の下・太ももの付け根などを冷却
・意識がある場合は水分・電解質を補給(経口補水液が理想)
・意識障害がある場合や自力で飲めない場合は、迷わず救急要請

【日焼け】
・まず冷やす(冷タオル・保冷剤など)
・水ぶくれがある場合は潰さず、早めに皮膚科を受診
・保湿剤で皮膚の回復をサポート
・強い痛み・熱感・腫れ・倦怠感が続く場合も早めの診察を

■ 最後に

熱中症も日焼けも、どちらも「防げる」ものです。
予防のための知識と行動が、健康だけでなくパフォーマンスを守ることにもつながります。

「頑張る体を、守る知識と行動を」

この夏も、安全に、楽しく、運動を続けていきましょう。
[文:池尻大橋せらクリニック院長 世良 泰]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

池尻大橋せらクリニック院長・世良 泰(せら やすし)

慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人スポーツチームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。
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著者プロフィール

日々快適に、そして各々が目指す結果に向けてサポートするマガジンとして、多くの方々の「ココロ」と「カラダ」のコンディショニングを整えるのに参考になる媒体(誌面&WEB)を目指していきます。

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