週刊MLBレポート2025(毎週木曜日更新)

投手復帰2度目の登板で好投を演じた大谷翔平 「18球」から見えた今後のさらなる可能性とは?

丹羽政善

22日(※日時はすべて現地時間)のナショナルズ戦で、復帰2戦目のマウンドに上がった大谷翔平。投じた18球から新たに見えたこととは? 【Photo by Jayne Kamin-Oncea/Getty Images】

心配される「打者・大谷」の状態は?

 前回登板から中5日で先発した大谷翔平(ドジャース)。この日は、復活登板だった前回よりも力みが消え、18球中12球がストライク。「元々、そういう予定だった」と大谷が明かしたように1イニングで降板したが、仮に2人目のジェームズ・ウッドのショートフライをムーキー・ベッツが落球しなければ、2イニング目も続投したのだろうか。

 デイブ・ロバーツ監督は、「いや、あれ(失策)には関係なく、1イニングの予定だった」と試合後に説明したものの、こう続けている。

「(続投させようか)一瞬、迷った」

 そんな誘惑に駆られるほど、大谷は安定していた。むしろ、前回の28球が予定オーバーだったということか。

 さて今日の試合では18球しか投げていないが、今回も気になることがあった。しかし、その前に触れておきたいのは、打者・大谷について。

22日は26号2ランを含む4打数2安打5打点をマークした大谷翔平。いまの状態をどう見るか 【Photo by Gene Wang/Getty Images】

 前回登板翌日からの5試合で大谷は、19打数2安打、9三振。打率.105、出塁率.261、OPS.366。もちろん、スモールサンプルではあるものの、6月は20試合に出場し、打率.260、25三振、本塁打わずか3本。大谷の基準なら、スランプである。

 今日の試合でも、1、2打席目は、いずれもボール球を振って三振。大谷はよく、「アウトにも、いいアウトと悪いアウトがある」と口にするが、前回登板後の内容は、ほとんどが後者と映った。

 ではそこから、どう4打席目の三塁打、5打席目の本塁打に繋げたのか? なにか、きっかけがあったのか?

 試合後、大谷にそう聞いたが、そのつながりに関しては答えず、1、2打席目の三振について、「相手が素晴らしかった」と振り返った。

「どちらかというと、自分が事前にイメージしていた投手像、球の軌道よりも今日は、良かった。そのズレによって、自分が打ちにいっている球が空振りになったり、ファールになっていた。単純に相手が素晴らしかった」

 読み解くと、自分のアプローチは決して悪くなかった。つまり、悪いアウトでもなく、状態そのものも決して悪くない、ということのよう。よって、何かきっかけがあったのではなく、イメージ通りの軌道の球なら、本塁打が1打席目から出てもおかしくなかった、という解釈ができる。

 それであれば納得できるが、一方で結果が出ていないのだから、打者としてはいま、相当フラストレーションを抱えているのではないか。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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